地雷火組

2004年7月10日
以前に録画してあって観ていなかった映画「地雷火組」(1960年作品、モノクロ)を観る。前編と完結編の二部構成になっている。桂小五郎を主人公とした幕末もので、山奥で火薬研究家、森下大蔵(黒川弥太郎)が開発した強大な破壊力を持つ爆薬(=地雷火)をめぐって、佐幕派と勤皇派が争う…という話。若き日の里見演じる桂は、倒幕に燃えながらも、冷静に進むべき道を見つめている感じ。同じく長州藩の佐橋与四郎(近衛十四郎)は、典型的な勤皇の志士という感じで、過激派とまではいかないけど、目的に向かって強引に進もうとするタイプ。イメージ的には逆では…とも思ったが、考えてみれば、桂小五郎って、そういう人かもな…と思ったら、違和感なく観ることができた。いい味を出していたのは、桂に協力する京のスリたち。品川隆二を筆頭に、これからは幕府より勤皇のダンナの時代よね…など、何もわかっていないながらも、桂と一緒になって新撰組に立ち向かっていく(ちなみに、スリは47人…四十七士に引っかけてる?)。ちなみに、誰も京都弁で話さないところがまた笑っちゃうんだけど、誰も京都弁の隆二なんて見たくないよなぁ…と妙に納得。そんな細かいことを気にせずに楽しめるあたり、昔の映画ってすごいね。近衛の見事な立ち回りも存分に楽しめて良い(里見はやっぱり今の方がうまい…)。最後は、長州も新撰組も地雷火を手に入れられずに終わるわけだが、これから戦いが激しくなるということを暗示しながらも、希望に満ちたエンディング。時代背景が暗い割には、暗い雰囲気のない映画で、とても良かった。

それにしても、この映画では完全に「悪役」として描かれている新撰組。いつも彼らを主役にして読んだり観たりしているので分からなかったけど、なんて「悪役にするとハマる集団」なんでしょう…。後半は、憎かったです、彼らが(笑)。鞍馬天狗を観ていた人が「新撰組は怖かった」とコメントしているのを見るけど、う〜ん、なるほど。ちょっと分かる気がします。でもね、下心あります…って顔で女性を訪ねて、予想通り昼間っから障子をパタン…と閉じてしまう沖田総司(しかも、ごつい。間違っても労咳には見えない!)には笑うしかなかったけど(笑)そこまでイメージって変わるものなのかしらね…。ちなみに、この映画の脚本は結束信二氏で、後に「新撰組血風録」や「燃えよ剣」のTV版で、新撰組(&土方歳三)人気を押し上げることになる脚本家だ。もちろん、どちらも原作があるからなんだけど、脚本家が同じだけに、その描き方の違いに関心してしまうというか、うなってしまうというか、なんというか…。

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